2016年8月3日水曜日

【ネタバレ注意】シン・ゴジラを観てきたので感想

7/29に公開となった映画シン・ゴジラ。
12年ぶりの国産ゴジラかつ初のフルCG、総勢300人超のキャスト、総監督がエヴァンゲリオンの庵野秀明という話題性には事欠かない作品である。
あ、庵野監督はジブリの「風立ちぬ」の主人公の声優を務めたことでも有名ですねw


また総監督の庵野氏以外にも同じくエヴァにTV版から関わっている盟友、樋口真嗣が特技監督、音楽は鷺巣詩郎という「なにそれ?エヴァ新劇場版の続編ですか?」と言わんばかりのスタッフで作られた作品。
樋口真嗣と言えば平成ガメラ三部作や、最近では実写版進撃の巨人の監督を務めたことでも知られる。
ちなみにエヴァの主人公、碇シンジの名前は樋口氏から取られたという話も有名だ。


またタイトルの「シン・ゴジラ」もエヴァ新劇場版の次回作の「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」と共通している点でもファンの間で物議を醸した。


そんな作品をエヴァファンが見逃すことが出来るはずもなく、初日にレイトショーで鑑賞してきた。




率直な感想は、面白い。
Fun的な面白さではなく、Interesting、知的な面白さだ。


公開前に番宣でバラエティ番組に出まくっていた主演の長谷川博巳氏の言う通り、実際の政治家の話し方をリアルに再現したという早口でのセリフの応酬。
その情報量の多さに圧倒される。


また、地名や自衛隊の兵器の名前その他の情報がエヴァでおなじみの「あの明朝体フォント」で逐一解説される。


他にもゴジラを自衛隊が迎撃するシーンは完全にエヴァ第壱話の第3使徒を国連軍が迎撃するシーンのオマージュと言えるし、よくエヴァで作戦会議の時などに流れるBGM(デンッデンッデンッデンッデンデンっていうアレ)のアレンジバージョンが流れたり、極め付けは通常兵器では歯が立たないゴジラに対して主人公が発案した作戦名が「ヤシオリ作戦」だったりと、エヴァファンへのサービスが凄まじい。
このヤシオリ作戦、血液凝固剤を積んだトレーラーを大量に連結してポンプ車でゴジラの口に流し込むという物だが、この連結状況をモニターしている画面が完全にヤシマ作戦のそれだったりもして、さながら実写版エヴァといった様相。


かと思えばゴジラ進撃時には昭和〜平成VSシリーズまでの有名なBGMが流れたりして、ここで「そうか、これはゴジラだった」と思い出させてくれる。


また、未知の巨大生物が日本に上陸した時の政府やマスコミ、国民の反応が震災や原発事故の時を想起させ、「本当にゴジラがやって来たらこうなるんだろうな」という妙なリアルさを感じ、恐怖感すらおぼえる。


普通の映画やドラマでは主演を張るような役者がすぐ死んだり、ちょい役として出演しているという無駄な豪華さも凄い。


肝心のゴジラの描写だが、初上陸時には四速歩行の両生類のような形態で進撃とともに急速な進化を経て最終的にゴジラの姿になる。

また熱線を吐く時は下顎が縦に割れるというかなりグロテスクな姿になり、口だけでなく背中や尻尾の先からも熱線を出すという歴代最強なのではないかという見た目も実力も恐ろしい存在になっている。
敵となる怪獣がいない初代を強く意識したということで、他作品のようなヒーロー然とした印象は一切なく、まさに恐怖の象徴といった感じだ。


常に体から放射能を撒き散らしていたり、尻尾の先には苦しむ人間の骨のような物が大量に付いているなど、原発や原爆を暗に示しているような部分も多く、また国連が核ミサイルによって倒そうとするが、それに敢然と立ち向かう日本人という構図の作品である。


総合した感想は「面白い」に行き着くのだが、観ている間はエヴァなのかゴジラなのか人間ドキュメンタリーなのかと言った感じで何とも言えない気分になる。


エヴァが今のように日本のアニメ界で一般人に対しても確固たる地位と知名度を獲得しているからこそ可能な過剰とも言えるオマージュはファンとしては嬉しいのだが、果たしてゴジラという作品でここまでやる必要はあるのか、純粋にゴジラシリーズのファンはどう思うのだろう?という疑問も感じるのは事実。


ヱヴァQで完全に鬱モードに入った監督が逆に人間賛歌的な作品に仕上げてきたところは驚きだったし、少しコアな面はあるものの予備知識のない人が見ても面白いと思えるような映画ではある。
エヴァの製作に割って入ったのも納得できるクオリティだったことは間違いない。


恐らくエヴァの制作費稼ぎという面もあったと思われるし、ファンとしては近いうちにエヴァの完結を望んでいる。